30代は家族構成の変化や収入の安定から、多くの人がマンション購入を検討する時期となります。
この年代でのマンション購入の平均購入額や借入額、さらには返済の詳細など、具体的なデータを基にした情報が求められています。
この記事では、30代でのマンション購入の平均データを中心に、購入のメリットやデメリットを詳しく解説します。
年収や金利、家族構成の変化など、マンション購入を検討する際の重要なポイントを明確にし、購入を検討している方々の参考となる情報を提供します。
記事のポイント
- 30代でのマンション購入の平均購入額や借入額がわかります
- 年収に基づく購入できるマンション価格の目安がわかります
- マンション購入時に掛かる諸費用の詳細について
- 住宅ローンの返済計画や頭金に関する具体的な計算例とシミュレーション
30代におけるマンション購入の平均と実際のデータ
- 30代のマンション購入額と借入額の平均
- マンション購入者の平均年収と年齢
- 購入できるマンション価格の平均目安
- マンション購入時に掛かる諸費用の内訳
- マンションを購入する際の具体的な計算式
- マンション購入時の総返済額の例
- マンション購入時の頭金はいくら必要?
- 頭金なしで購入する人の割合
- 実際の購入者の頭金の平均額
30代のマンション購入額と借入額の平均
30代で住宅を購入した人の平均購入額は3,679.69万円、中央値は3,500万円となっています。
また、借入金額の平均は2,717.24万円、中央値は3,000万円です。
毎月の住宅ローン返済額の平均は7万4,114円、中央値は8万円となっています。
引用元:ARUHI「30代の住宅購入額や借入金額の平均は?」
これらの数字を基に、30代の人々が住宅購入や住宅ローンを検討する際の参考として、以下のポイントを考慮することが推奨されます
年収の考慮
年収が400万円以上になったタイミングで住宅購入を検討することが多い。
金利の変動
金利が低下したタイミングで住宅ローンを組むことを検討する。
家族構成の変化
子どもが生まれるなどの家族構成の変化を受けて、住宅購入を検討するケースが多い。
マンション購入者の平均年収と年齢
国税庁が発表した2021年(令和3年)の民間給与実態統計調査によると、2021年(令和3年)の30代に絞った平均年収は、男性が413万~449万円、女性が321万円前後とされています。
また、マンション購入者の平均年齢は44.8歳となっています。
これは、多くの人々が安定した生活基盤を築いた中年期にマンション購入を検討する傾向があることを示しています。
参考元:アルファジャーナル「マンション購入は何歳が多い?」
購入できるマンション価格の平均目安
自分の年収に基づいて、どれくらいの価格のマンションを購入するのが適切なのかは多くの人にとって気になる点です。
この参考として用いられる「年収倍率」は、住宅の購入価格が購入者の年収の何倍になっているかを示す指標です。
具体的には、「住宅の購入価格 ÷ 世帯年収」という計算式で求められます。
過去には「年収倍率は住宅購入価格の5倍以内」と言われていましたが、最近の住宅ローンの超低金利の影響を受けて、この指標は変動しています。
住宅金融支援機構の「2021年度フラット35利用者調査」によると、2021年度にマンションを購入した人の年収倍率は全国平均で「7.2倍」、首都圏で7.6倍、近畿圏で7.1倍、東海圏で6.8倍となっています。
中古マンションの場合、全国平均は「5.8倍」、首都圏は6.1倍、近畿圏は5.6倍、東海圏は4.9倍です。
これらのデータを基にすると、年収の「5~7倍程度」がマンションの購入価格の目安と言えます。具体的な数字を示すと以下のようになります:
- 年収300万円の場合:1,500万〜2,100万円
- 年収400万円の場合:2,000万〜2,800万円
- 年収500万円の場合:2,500万〜3,500万円
- 年収600万円の場合:3,000万〜4,200万円
- 年収700万円の場合:3,500万〜4,900万円
- 年収800万円の場合:4,000万〜5,600万円
- 年収900万円の場合:4,500万〜6,300万円
- 年収1,000万円の場合:5,000万〜7,000万円
ただし、これはあくまで目安であり、実際の住宅ローンの借入可能額は年収だけでなく、他の要因も考慮されるため、参考値として考えることが重要です。
マンション購入時に掛かる諸費用の内訳
マンションを購入する際には、購入価格だけでなく、さまざまな諸費用が発生します。
例えば、
- 登記費用
- 固定資産税
- 融資借入費用
- ローン事務手数料
- 火災保険料
- 仲介手数料
- 印紙税
などがあります。
これらの諸費用は、購入価格の7~13%程度が目安になり、例えば3,000万円の中古マンションを購入する際の上記の諸費用は、合計で「約200万円~260万円」ほどになります。
また、上記の諸費用以外にも、毎月の管理費や修繕積立金などの月々の費用も考慮する必要があります。
マンションを購入する際の具体的な計算式
マンションを購入する際の計算式について詳しく解説します。
まず、購入価格を決定する際の基本的な計算式は
「年収 × 倍率 = 購入可能価格」となります。
この倍率は、前項でお伝えした年収の5倍から7倍の部分です。
また、月々の返済額を計算する際の式は
「(購入価格 – 頭金) ÷ 返済期間(月数)」となります。
この計算を行うことで、月々の返済額や必要な頭金の額を把握することができます。
ただし、金利や返済方法(元利均等返済や元金均等返済)によっても返済額は変わるため、具体的な計算は金融機関のシミュレーションを利用することをおすすめします。
マンション購入時の総返済額の例
マンション購入時の総返済額について具体的な例を挙げて説明します。
例えば、購入価格が5,000万円のマンションを、頭金1,000万円で購入し、残りの4,000万円を35年間で返済する場合を考えます。
金利1.5%の元利均等返済を選択した場合、月々の返済額は約12万円となります。
35年間での総返済額は、この月々の返済額を合計した額となり、約5,280万円となります。
このように、金利や返済期間、返済方法によって総返済額は大きく変わるため、購入前にしっかりとシミュレーションを行い、自身のライフプランや家計に合った返済計画を立てることが重要です。
シミュレーション参考:住宅金融普及協会「総支払額の計算」
マンション購入時の頭金はいくら必要?
マンション購入時に必要な頭金の額は、購入価格や金融機関、個人の経済状況によって異なります。
一般的には、購入価格の10%~20%が頭金として求められることが多いです。
例えば、購入価格が5,000万円のマンションを考えた場合、頭金として500万円から1,000万円を用意することが望ましいとされています。
頭金なしで購入する人の割合
頭金なしでマンションを購入する人も少なくありません。実際のところ、頭金0円での購入を選択する人の割合は全体の約30%となっています。
実態としては、30代の住宅購入者の約18.5%が「頭金なし」で住宅を購入しています。
このような選択をする背景には、現在の低金利環境や、頭金を用意するよりも他の投資に資金を回したいという考え方が影響していると考えられます。
実際の購入者の頭金の平均額
最も多い頭金の範囲は「100万円以上300万円未満」で、これが21.6%を占めています。
頭金が多いほど、その後の返済額の負担が減りますが、将来のライフスタイルの変化に備えるために、手持ちを残しておきたいという方の割合が大きいようです。
金融機関によっては頭金0円での融資も可能な場合もありますので、複数の金融機関の条件を比較検討することが重要です。
30代にマンション購入する際の資金計画の重要性
- 無理のない返済負担率と計算例
- 返済負担率が大きすぎると起こる障害
- 住宅ローンの変動金利と固定金利の違い
- 親や親戚から援助を受けた場合
- 共働きでマンションを購入する選択肢も
- 夫婦で収入合算してマンション購入する場合のメリットとデメリット
無理のない返済負担率と計算例
返済負担率とは、月々の返済額が収入に占める割合のことを指します。
この返済負担率が高すぎると、生活費の確保が難しくなるため、無理のない範囲での返済が求められます。
一般的には、返済負担率は20%~25%以下が無理のない理想的な範囲とされています。具体的な計算式は
「返済負担率 = (月々の返済額 ÷ 月収) × 100」となります。
例えば、月収30万円で、月々の返済額が7.5万円の場合、返済負担率は「(7.5万 ÷ 30万) × 100 = 25%」となります。
沖縄での住宅ローン審査では、返済比率40%までの借入も可能ですが、安全な返済計画を考慮すると、20%~25%が適切でしょう。
この返済比率を基に、年収別の月々の返済額を計算することで、購入できるマンションの価格の目安を知ることができます。
自身の返済負担率を計算し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
返済負担率が大きすぎると起こる障害
返済負担率が高すぎると、生活費の確保が難しくなるだけでなく、急な出費や収入の減少などのリスクにも対応しづらくなります。
具体的には、生活の質の低下や、返済が困難となり遅延や滞納を起こすリスクが高まります。
また、精神的なストレスや健康問題を引き起こす可能性も考えられます。
このような障害を避けるためにも、返済計画は慎重に立てることが必要です。
住宅ローンの変動金利と固定金利の違い
住宅ローンには、変動金利と固定金利の2つの主な金利タイプがあります。
変動金利は、金利が一定期間ごとに見直され、経済状況によって上下するタイプです。
一方、固定金利は、契約時の金利が一定期間固定されるタイプです。
変動金利は、金利が低下する可能性がある反面、上昇するリスクもあります。
固定金利は、金利上昇のリスクを避けることができますが、初めの金利がやや高めに設定されることが多いです。
親や親戚から援助を受けた場合
親や親戚からの援助を受けてマンションを購入する場合、頭金としての援助や住宅ローンの一部返済の援助など、さまざまな形が考えられます。
このような援助を受ける場合、援助の内容や返済の有無、返済条件などを明確にして、書面に残すことがおすすめです。
また、税法上の贈与税の問題も考慮する必要があります。
共働きでマンションを購入する選択肢も
参考元:グラフで見る沖縄県の共働き世帯
沖縄県は全国の平均値と中央値よりも共働きの割合が少ないほうですが、30代で共働きの場合、夫婦双方の収入を合算して、より高額なマンションを購入することが可能となります。
また、共働きであれば、返済負担率を低く保つことができ、より安定した返済計画を立てることができます。
子育てとの両立や、将来の収入の変動などを考慮して、無理のない範囲での購入を心がけることが大切です。
夫婦で収入合算してマンション購入する場合のメリットとデメリット
夫婦で収入を合算してマンションを購入する場合、メリットとしては、より高額な物件の購入や、より低い返済負担率での購入が可能となります。
また、金融機関からの信頼も高まり、より良い条件での融資を受けることができる可能性があります。
一方、デメリットとしては、夫婦双方の収入が必要となるため、一方の収入が減少した場合などのリスクが高まります。
このようなリスクを考慮して、適切な返済計画を立てることが重要です。
30代でマンションを購入する人のメリットとデメリット
30代はキャリアを築き上げる時期であり、結婚や子育てといったライフイベントが重なる大切な時期でもあります。
このような時期にマンションを購入することには、さまざまなメリットとデメリットが存在します。以下に、それぞれのポイントを詳しく解説いたします。
メリット
資産形成のスタート
30代でマンションを購入することで、早期からの資産形成を始めることができます。
長期的な視点で見ると、早くからの資産形成は将来の資産総額を大きくする可能性があります。
低金利時代の活用
現在は低金利時代であり、30代でのマンション購入は、この低金利を活用して、よりお得に購入するチャンスとなります。
ライフスタイルの向上
自分の好みやライフスタイルに合わせたマンションを選ぶことで、生活の質を向上させることができます。
また、子育て環境や通勤の利便性など、生活に密接に関わる要素を自分の希望に合わせて選ぶことができます。
デメリット
経済的なリスク
30代はキャリアの形成期であり、収入の変動や転職などのリスクが考えられます。
このような変動に対して、返済計画が狂ってしまう可能性があります。
ライフスタイルの変化
30代は結婚や子育てなど、ライフスタイルが大きく変わる時期でもあります。
初めに選んだマンションが、将来のライフスタイルに合わなくなる可能性が考えられます。
購入後の固定費の増加
マンション購入後は、管理費や修繕積立金などの固定費が発生します。これらの費用を考慮しないまま購入すると、家計のバランスが崩れるリスクがあります。
マンション購入は大きな決断となるため、しっかりとした計画と知識が必要です。
30代のマンション購入:年収別返済額の平均
30代でのマンション購入を検討する際、年収に応じた返済額の目安を知ることは非常に重要です。以下に、年収別の返済額の目安を詳しく解説いたします。
年収300万円
年収300万円の場合、無理のない返済負担率としては25%を目安とします。
月収としては25万円となり、返済額としては約6.25万円/月が目安となります。
これを基に、低金利の現在の状況であれば、約2000万円程度のマンション購入が考えられます。
年収400万円
年収400万円の場合、月収は約33.3万円となります。
返済負担率25%を考慮すると、返済額は約8.3万円/月が目安です。
この返済額を基に、約2500万円〜2800万円程度のマンション購入が適切と考えられます。
年収500万円
年収500万円の方は、月収約41.7万円を想定します。
返済負担率25%の場合、返済額は約10.4万円/月となります。
この条件下での適切な購入価格は、約3000万円〜3500万円の範囲となるでしょう。
年収600万円
年収600万円の場合、月収は約50万円となります。
返済額の目安としては、約12.5万円/月が考えられます。
この返済額を基に、約3500万円〜4000万円程度のマンション購入が適切となります。
年収700万円
年収700万円の場合、月収としては約58.3万円を想定します。
返済負担率25%を基準とすると、返済額は約14.6万円/月が目安となります。
この返済額を基に、約4200万円〜4500万円程度のマンション購入が考えられます。
年収800万円
年収800万円の方は、月収約66.7万円となります。
返済負担率25%を考慮すると、返済額は約16.7万円/月が目安です。
この返済額を基に、約4800万円〜5200万円程度のマンション購入が適切と考えられます。
年収900万円
年収900万円の場合、月収は約75万円を想定します。
返済負担率25%の場合、返済額は約18.75万円/月となります。
この条件下での適切な購入価格は、約5400万円〜5800万円の範囲となるでしょう。
年収1000万円
年収1000万円の方は、月収約83.3万円となります。
返済額の目安としては、約20.8万円/月が考えられます。この返済額を基に、約6000万円〜6500万円程度のマンション購入が適切となります。
年収に応じて、適切な購入価格や返済計画を立てることが、安心してマンションを購入するための鍵となります。
30代のマンション購入の平均まとめ
記事のポイントをまとめます。
- 30代は家族構成の変化や収入の安定から住宅購入を検討するケースが増加
- 30代での住宅購入の平均購入額は3,679.69万円、借入金額の平均は2,717.24万円
- 年収が400万円以上のタイミングで住宅購入を検討することが一般的
- 金利の低下時に住宅ローンを組むことを検討
- 子どもの誕生などの家族構成の変化が住宅購入の動機となることが多い
- 2022年の男性の平均給与は年収563万円、女性は314万円
- マンション購入者の平均年齢は44.8歳
- 年収の「5~7倍程度」がマンションの購入価格の目安
- マンション購入時には登記費用や固定資産税などの諸費用が発生
- 住宅の購入価格を決定する基本的な計算式は「年収 × 倍率 = 購入可能価格」
- 金利や返済期間、返済方法によって総返済額は大きく変動
- 一般的には、購入価格の10%~20%が頭金として求められる